綾里のわかめの魅力!
- tohoku-taberubu
- 2015年7月28日
- 読了時間: 6分
岩手県大船渡市を訪れました!目的は、綾里浜のワカメ漁師さんのお話をお伺いするため!
みなさん、ワカメについてどのくらい知っていますか?塩蔵ワカメ、乾燥ワカメ、生ワカメ、メカブ、中芯、モトハとハ….私は綾里に来るまで、塩蔵と乾燥の違いも知らず、塩蔵ワカメを目にしたことがありませんでした。それでも元々ワカメは大好きだったのですが、綾里でワカメを頂いて、驚きました。今まで私が食べていたワカメはなんだったんだろう、と思うほどのおいしさに感激しました。しかし、もっともっと驚いたのはワカメの塩蔵工程。こうして綾里のワカメの魅力に引き込まれ、今回ワカメ漁師さんのお話を伺うために二度目の綾里訪問をさせていただきました。
私が二度の訪問ですごい!と驚いたこと、をみなさんにもおすそわけします!
普段店頭でご覧になるのは主に乾燥ワカメだと思います。私は岩手県のスーパーを訪れた際に、初めて鮮魚コーナーに並ぶ“生ワカメ”なるものを発見しました。18年間関西で暮らしていて目にしたことがありませんでした。ワカメって生の状態は茶色だということ知っていましたか?それがお湯につけた瞬間おなじみの緑色に早変わり!生ワカメしゃぶしゃぶは感動の料理です。
そして、今回お話するのは塩蔵ワカメ。ワカメが店頭に並ぶまでにどんな道のりを経るのか、ご存知ですか。塩蔵とは、生のワカメをボイルして水を切り塩をまぶし、脱水をして保存に適した状態にする加工方法です。
刈り取られたワカメは船から沖に水揚げされ、釜茹でされます。このとき港いっぱいに磯の香りが漂い、とても気持ちいいです。ボイルされたワカメを水切りし、そこに塩をまぶします。その状態で一晩寝かせて塩を浸透させ、タンクから取り出すと次は芯取り作業です。ワカメはハ、モトハ、中芯、メカブなどから構成されており、出荷の際はそれらを別々に段ボールに詰めます。検品の際にはワカメの色などの他、交じりがないか(ハの中に中芯が混じっていないかなど)にも注意しなければならないため、この作業はとても重要です。それと同時に、一つ一つのワカメを丁寧に分ける作業は時間がかかり人手が要ります。毎年ワカメの収穫時期になると、親戚中の子どもや地域のおばあちゃんたちが集まるそうです。作業は主に女性が担当し、ガールズトークが絶えません(笑)特におばあちゃんたちは、作業の後、来る前より元気になって帰っていくんだそうです。地域の産業があたたかいコミュニティをつくっている様子に感動しました。そんな芯取り作業、まずはメカブを落とすところから始まります。ここで使うのがメカブカッター!綾里で生まれた優れものです。メカブが取れると、次はモトハを取り、ハと中芯を外します。これがコツのいる作業で、意外と難しい。ここでの勝敗が出荷の際の等級にも関わるということで緊張しました。部位別に分けられたワカメはここから更に脱水、ようやく段ボールに詰められます。こうして塩蔵加工を経て脱水を繰り返されたワカメ、なんと出荷時の重さは水揚げ時の3分の1にまで減ってしまうのです。この状態のワカメは脱水のし過ぎで最もおいしい状態ではありません。ここに、仲介業者が水と塩を足したものが店頭に並んでいるのです。わざわざ一度手間をかけて水を抜いたものに、もう一度水を足すなんて、無駄なことに思えてしまいます。重さで値が付けられるワカメ出荷の裏側です。
こうして多くの人の手によってみなさんの元に届けられるワカメ。店頭に並ぶワカメのパッケージのほとんどに“三陸産”という文字が書かれているのを目にすることは多いと思います。三陸はワカメの一大生産地で、国内産の約75%のシェアを誇ります。しかし、三陸が指すのは、青森県と岩手県、宮城県の沿岸部すべて。この事実が何を意味するのか。
今回私が出会った綾里のワカメ漁師さんたちは、自分たちの、綾里で採れたワカメが日本一だと誇りを持っています。しかし現存のやり方では、その日本一のおいしさを食べる人に知ってもらうことができないのです。ひとたび段ボールに詰められ、それが漁協から仲介業者の手に渡ると、三陸産ワカメとして、他のワカメと一緒にまとめられてしまい、さらには近年生産量が急激に増えている中国産ワカメが混ざっていることもあるのだとか。せっかく自分たちが誇りを持って作っているものの価値を伝えられない、また食べる人に誤解されてしまうのは嫌ですよね。ものをつくる人なら誰でも共感できると思います。また逆に、受け手側にとっても歓迎すべき状況ではありません。例えば買って食べたワカメがとってもおいしくて、その感動や感謝をつくった人に伝えたいと思っても、生産者や生産地が書かれていなければその想いは叶いません。これは、生産者も消費者から「ごちそうさま」や「ありがとう」を聞くことができないということです。
このようなことからやりがいを感じることができなかった綾里の漁師さんたちは、同じ浜の、隣の漁師と漁獲高を競うことでやる気を出していたんだそうです。「どこに出しても恥ずかしくないものをつくっているのに、なんで混ぜられなきゃいけないのかって、それがおもしろくないところ。漁師が集まれば必ずこの話になる。」しかし、現在のやり方にもメリットとデメリットがあり、なかなか変わるのも難しいこと。
しかし、中国産ワカメの台頭などによりワカメが買い叩かれている状況、後継者不足でワカメ生産の持続が危うくなっている現状に気付いた人から、少しずつ変化の兆しが出ています。今回お会いしたワカメ漁師の奥さんが、こんなことをおっしゃっていました。「今変わんねば変わんねえ。」綾里のワカメのおいしさを知ってもらうには、まず綾里に来てもらって、混じりけのない100%綾里産のワカメを食べてもらうことが一番。でも、やっぱり外の人を受け入れるとなると面倒だと思ってしまう。でも今変わらないと何も変わらないのだから、やるしかない。食べる人と交流する楽しさを知ることができれば、意識も変わる。小さなところで競争するのではなく、小さな集まりとなって協力し、大きな相手に立ち向かっていかなくては。
こう力強く語ってくださった皆さんの言葉に、心を動かされました。
綾里のワカメのおいしさ、素敵な漁師さんたちを一足早く知ることができた私に、できることはなんだろう。なにかしたい、そんなもどかしい思いが募りました。ここ綾里では、この秋から綾里漁協食べる通信が始まります!(http://taberu.me/ryouri/)創刊号はなんとワカメ!私は実家に綾里漁協食べる通信を送り、まずは家族に綾里の魅力を伝えるところから始めようと思います。
迎え入れてくださったみなさん、本当にありがとうございました。
さき

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